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ドラマ『アリバイ崩し承ります』

ご案内のように、大山誠一郎原作がテレビ朝日系列でドラマ化されております。
昨日は第四話が放送されました。

アリバイ崩し承ります (実業之日本社文庫)

アリバイ崩し承ります (実業之日本社文庫)

  • 作者: 大山誠一郎
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2019/11/25
  • メディア: 文庫


大山誠一郎は、現役のミステリー作家の中では、法月綸太郎と並んでもっとも「パズラー」の称号が相応しい作家だと、私は考えています。お気に入りの作家のひとりです。
なにせ、デビュー作の題名が『アルファベット・パズラーズ』ですから。

小説『アリバイ崩し承ります』は、バリバリのパズラーで、探偵役が若い女性の時計屋という遊び心がありますが、そのほかはシンプルに謎解き(アリバイ崩し)に特化した短編集。
ドラマ化と聞いたとき、うまく行くかちょっと疑問がありましたが、視聴しましたら杞憂でした(^_^;

もともと本格探偵小説はコメディと相性がいいので、ドラマでもコミカルな味を付けくわえています。
しかし、笑いを無理に取りに行くような強いコメディ色ではなく、適度なムードに落ち着かせています。

アリパイ崩し短編だと、トリックや状況設定などに不自然さが多少あっても、まあ「これはパズラーだし」と切り替えて楽しめますが、ドラマにするとさすがに不自然さが目立つところもあるかな。
第3話の橋本マナミがゲストのやつとか。
小説(文字)だと脳が補正しますが、映像だとそのしようがない。

相方の刑事がなぜ安田顕なのか、ライバルのチャラい刑事がなぜ成田凌なのか、鑑識がなぜ柄本時生なのか、配役にはいろいろ疑問もありますが、主演の浜辺美波の輝きがすべてを打ち消しています。

まだ20歳とは思えぬ落ち着きと表現力。発声も良い。
いやらしさのない可愛さ。
昨年、映画『屍人荘の殺人』の収録のころか、だいぶ痩せていて心配しましたが、このドラマ収録時には普通にほっぺたにも肉がついていて、ひと安心。肩出し入浴シーンも絵になる。

そして、有村架純と姉妹を演じているJA共催のCMもいい。

JA共済CM 「保険点検」篇

宿予約の係が「わたしだったっけ?」という姉・有村架純に、
「お姉ちゃんだよ」とつっこむ妹・浜辺美波の表情が上手い。

しかし、こんな姉妹を持った親は、毎日心配でたまらんだろうなあ(意味不明)。

しかし、残念なのは、この連続ドラマ、全7話ということ。
原作が短編7つしかないからだけど、もっと見せろ、と言いたい(何を)

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『喉切り隊長』 [ジョン・ディクスン・カー]

ジョン・ディクスン・カーが1955年に発表した歴史ミステリー。

喉切り隊長 (ハヤカワ・ミステリ文庫 カ 2-12)

喉切り隊長 (ハヤカワ・ミステリ文庫 カ 2-12)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2020/02/17
  • メディア: 文庫


舞台は、1805年。英仏海峡を望むブローニュの森。
英国侵攻をもくろむナポレオン・ボナパルトは、彼の大陸軍をブローニュに駐屯させ、上陸のタイミングをうかがう。
その駐屯地に夜な夜な現れ、兵隊をひとりまたひとりと惨殺していく「喉切り隊長」。

警務大臣フーシェ(あの悪名高い)は、捕らえていた英国のスパイ、アラン・ヘッバーンに「喉切り隊長」の正体を一週間以内に暴き出せと命ずる……

前半はある意味、カーらしくゴタゴタと進みます。
アランのブロンドの妻と、アランを陥れたブルネットの女工作員、そしてプロイセンの血気盛んな軍人などが、いろいろ入り乱れて話が進まない。
アラン一行が「喉切り隊長」の捜査に携わるべくブローニュ入りしたのは、なんと作品も半分を過ぎようとするころ!

カー作品でなかったら、ここで中途放棄していたかもしれません。
しかし、ここから面白くなっていきます。
ナポレオン軍が英国上陸を敢行するのかどうか、それを英国の軍艦に伝達するアランのミッションがサスペンス豊かに語られます。このパートが一番ノリノリで良いです。
気球が次々に炎上するシーンは映画にしたいくらい。

一方、「喉切り隊長」の捜査はぱっとしません。
そもそもアランには正体を暴こうとするつもりがありませんから。
一週間以内、という時間が与えられているわりには、一晩明けたころには小説は終わってしまう。

思うに、このお話はミステリーというより冒険小説で、アランのミッションをより中心に据えた方が良かったかもしれません。
前半、読者はアランのもくろみが分からないままなので、どうも流れに乗りきれない。

古くから、冒険小説では主人公たちのミッションははっきりしていて、読者はそれを共有し、それでサスペンスを得る。
たとえば、『ナバロンの要塞』なら巨砲の爆破がミッションだし、『鷲は舞い降りた』ならチャーチルの暗殺。

「喉切り隊長」を探せ、というミステリー的な設定でスタートしながら、じつのところ冒険活劇のお話になっているところが、少しぎくしゃくした原因かもしれません。

まあ、後半は良かったし、ラストのフーシェとの駆け引きのシーンはサスペンス最高潮。

いまのところ、カーの歴史ものでは、一番面白く読めました。



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映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』 観てきました

まず序盤は本格ミステリーの常道、関係者の聞き取りシーンから。
被害者である世界的ミステリー作家の、息子だの孫だの義理の娘だのが、客間らしき部屋に一人ずつ呼び出されて、警部補と刑事、名探偵の三人から質問を受ける。
さながらヴァン・ダインの世界で、ベタであります。

ヴァン・ダイン風なら退屈か、というと、さにあらず。
事件当夜のシーンとクロスさせ、テンポよく進みます。

ムービーウォーカーの解説では「密室殺人事件」とありますが、ミステリーファンが思い浮かべる狭義の密室殺人ではありません。
被害者が発見された三階の書斎に上がれる階段は一つしかなく、階段を降りきった一階には必ず誰かがいたので、外部からの出入りはない、という状況。

初めは自殺で処理されそうになりますが、高名な私立探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)のもとに、殺人事件として捜査して欲しいとの匿名の依頼が舞いこみます。

この名探偵、言葉にときおりフランス語を交えます。明らかにエルキュール・ポアロへのリスペクト。

後日、弁護士による遺言状の開封シーンとなります。
全財産はキャラの濃い家族たちにではなく、被害者を生前看ていた看護師マルタ(アナ・デ・アルマス)譲られる、と告げられ家族騒然。弁護士に食ってかかる家族たち。

このシーン、日本人には既視感があります。そう『犬神家の一族』!
看護師マルタは、野々宮珠世。

映画では、ビデオテープ再生のシーンで「日本のホラーだな」という、『リング』を指したセリフもありまして、監督・脚本のライアン・ジョンソンは、もしかすると『犬神家の一族』を知っているのかもしれません。

さて、古典的な本格ミステリーっぽいのは、前半までで、後半からはムードが変わります。
ネタバレになるので、詳しくは書きません。

私立探偵役のダニエル・クレイグは、なかなか演技巧者であることに驚き。
ジェームズ・ボンドとは全く違う表情、話し方。

野々宮珠世看護師役のアナ・デ・アルマスがいい。
『ブレードランナー 2049』でAIを演じた彼女。
眼のくりっとしたタヌキ顔の、キューバ出身の女優。

歴史に残る傑作、というわけではありませんが、なかなか楽しめました。

こういう映画が増えるといいです。




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